誰もいない真夏の海

7月の上旬、フランス国立東洋言語文化大学教授のトワイエ千賀子さんが来日しました。トワイエさんは東京世田谷の出身ですが、フランス人と結婚し現在はフランス在住です。共立女子大学などとフランスの大学との交換留学の推進にも尽力しています。

彼女は今回の帰国に際し原発のある双葉郡に隣接するいわき市を訪問してみたいということから、縁あって私がいわきの被災地域を案内することになりました。震災から1年半が経過した久ノ浜から小名浜の海岸線、いわきニュータウンの仮設住宅の様子などを見ていただきました。

私も久しぶりにいわきの海を見て、誰もいない真夏の海にある種の戦慄を覚えるのです。いわき市の海岸線はいわき七浜と呼ばれ、勿来・小名浜・永崎・豊間・薄磯・四倉・久ノ浜の全長60キロメートルに及ぶ風光明媚な所です。

東京から比較的近いこともあって、夏には海水浴客やサファーなどで賑わいを見せていました。ところが、昨年・今年のいわき七浜は無人島の浜辺のようです。今年は勿来海水浴場だけはオープンしましたので多少の人出はあったようですが、他の海水浴場はまさに「誰もいない真夏の海」なのです。

トワイエさんを案内し久ノ浜の海岸に立つと、最近行われたと思われる慰霊の祭壇が残されていました。祭壇に手を合わせ振り返えると、久ノ浜は津波の後に火災が発生しましたので、夏草の中に住宅の基礎だけが虚しく残っています。そのような中に、小さな社と古い土蔵だけが傷つきながらも毅然と立っているのが印象的です。

(津波にも耐えた社)
久ノ浜海岸

その後、県立公園にもなっている新舞子海岸沿いに走りました。この地点は海岸から陸側に県道、江戸時代に植林されたという松林(防災保安林)さらに川(横川)が並行して走る地形が数キロ続きます。この地形が津波を和らげる働きをしたことをトワイエさんに告げると、大変興味を持ち車を止め写真を数枚撮りました。

薄磯の海岸に着くと、この地区がいわき市内でも津波の被害が最も大きかっただけに、惨憺たる状況を見て彼女も驚きの声をあげました。薄磯海岸は遠浅で海水浴には最適な場所です。しかし震災前まで、この季節は海水浴客で大変な賑わいを見せていた海岸には人影がないのです。集落も無くなり観光客も訪れないこの地域は将来どうなっていくのか不安がよぎります。

(誰もいない薄磯海水浴場)
薄磯海水浴場

(震災前は賑わいを見せていた四倉海水浴場)
四倉海岸

薄磯から豊間、小名浜を経由しいわきニュータウンの中に建設されている仮設住宅を訪れました。この地域の仮設住宅は木造です。しかし、瀟洒な住宅や結婚式場・高校・大学などが点在する中では異質な存在であることには違いがありません。

時間に制限がありましたので、いわきの案内はここで終わりました。トワイエさんとの話の中で印象的だったのは、「この地域の人々はもっと怒るべきだ」と彼女が政府や東電の姿勢に憤慨していることでした。フランスは電力の80%を原子力でまかなう原発大国ですが、建設や安全性については住民に情報を100%提供し納得の下に推進しているのです。原発建設地域の市町村にのみ甘い汁を吸わせ、情報提供も不十分な状態で進める日本の原子力政策とは根本的に違うのです。
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